京田辺市薪茶屋前の整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科 川東整形外科

漢方治療

女の更年期、男の更年期の漢方治療

女性・男性の更年期症状

■更年期に起こりやすい症状■

女性に多い症状

  • イライラする
  • のぼせる
  • ほてる
  • 汗がどっと出る
  • 冷え・のぼせがある
  • 手足がしびれる
  • 肩こり、関節痛

女性のつらさ-「分かってもらえない」

男性に多い症状

  • 気分が落ち込む
  • 集中力が無い
  • 無関心
  • 排尿障害がある(前立腺疾患がある)
  • 勃起障害がある
  • 被害妄想的になる

男性のつらさ-「俺はもうだめなのか」

女のつらさ-「分かってもらえない」

更年期は本人のつらさが周囲に伝わりにくい病気です。症状も個人差があり、変化しやすいこともあって理解されにくいのです。目に見えて分かるような異常がないのに、つらい、しんどいとばかり訴えていると「気のせい」「甘えている」はては「これだから女は・・」とまでいわれることがあります。
女性の更年期に多い症状のなかで、ほてる、汗がどっとでる、という症状は西洋医学では「ホット・フラッシュ」といわれます。また「冷え・のぼせ」は上半身のほてりやのぼせ、下半身・手足の冷えが同時に存在するもので、西洋医学の考えでは理解しにくいものですが、実際には非常に多く見られる症状です。

男のつらさ-「俺はもうだめなのか」

女性更年期と同様の身体症状のほかに、気分の落ち込みや集中力低下、無関心といった精神面の症状が前面に出るのが男性更年期の特徴です。これは男性更年期の期間が女性よりも長く、エネルギーの衰えた状態で何年も社会生活を送ることによるストレスが影響していると考えられます。
これらの症状は、仕事面に影響しやすく、症状が起こると周囲の評価も落ち、若い頃のように仕事ができなくなった自分を責めてしまいます。加えて、前立腺症状や勃起障害が起こると男性としての自信も揺らぎ、ますます気うつになってしまいます。
男にも更年期があることを本人も周囲の人もよく知って、正しい治療を受けるようにしたいものです。

性ホルモンの変化と更年期

西洋医学から見て、更年期の症状は、性ホルモンの減少が原因となって起こると考えられます。性ホルモンには、女性ホルモンとよばれるエストロゲンや、男性ホルモンと呼ばれるテストステロンなどがあります。性ホルモンは思春期の頃から女らしさ、男らしさを作りますが、40歳後半になると減少してきます。長い間性ホルモンの存在になれた体の機能が、性ホルモンの減少でバランスをくずし、さまざまな不都合な症状が重なって現れたのが更年期です。

漢方で更年期を治療する

加齢に伴って起きる更年期は、漢方では「腎虚」によるものと考えられます。女性の更年期は閉経後急激に起こる「腎虚」の影響で「気逆」を伴いやすいのが特徴です。冷え・のぼせ、ホットフラッシュ、突然発汗する、動悸、イライラ感など更年期によく見られる症状はこの「気逆」による症状です。また、女性の更年期では血の異常を伴う場合が多く見られます。これに対して、男性の更年期では「腎虚」は比較的ゆるやかに進み、それに伴って起こる「気虚」の症状が目立ちます。やる気がでなかったり、集中力がなくなったりするのは、そのためです。
漢方では更年期のいろいろな症状に使える薬がある。

「腎虚」・・・・・
八味地黄丸
「気逆」・・・・・
加味逍遥散
女神散
柴胡加竜骨牡蠣湯
桂枝加竜骨牡蠣湯
「血の異常」・・・
桂枝茯苓丸
「気の異常」・・・
十全大補湯
補中益気湯

どの処方が自分に合っているか、先生へ相談してみてください。
更年期の症状は、治療によって改善できるものです。相談しながら、西洋薬・漢方薬を上手に使って快適に更年期をのりきりましょう。

漢方Q&A

漢方治療と西洋薬での治療との違いは?

西洋医学では、病気の原因を科学的に究明して診断を行い、その原因に応じて治療を行います。

漢方医学では、体のどこに起きている病気でも、全身の状態から診断して、心身のバランスを整えて、体質自体を改善させていくことを治療の目的にしています。

漢方医学の特徴は?

漢方医学では、病態や体質などを含めた全身の状態を、漢方の伝統的な考え方で捉え、診断にあたる「証(しょう)」を見極めます。

「証」を見極めるには、漢方独特の新療法(ものさし)を使います。主に「虚実・気血水」の“ものさし”を使い、これらを総合して「証」を判断します。

漢方医学における「虚実」とは?

「虚実」とは、いわば生体のエネルギーの状態を測る“ものさし”のことで、体力のない「虚証」か、体力のある「実証」、その間の「中間証」があります。

同じ病気においても、虚証の状態と実証の状態で、使う薬が変わります。

漢方医学における「気血水」とは?

「気」は生命のエネルギーのことで、脳や神経の活動、免疫などを指します。
「血」は血液とその働きのことで、血液とともに流れる栄養も含みます。
「水」は血液以外の体液のことで、リンパ液、汗、涙、尿などが相当します。

漢方医学においては、この「気」「血」「水」がバランスよく体をめぐることで、健康が維持されると考えます。
このバランスが崩れる(不足・流れが悪い)と、さまざまな症状が現れると考えます。
不足を補い、流れを促す薬を用いて、症状の改善をはかります。

同じ症状でも使う薬が変わるのですか?

漢方医学においては、同じ病気でも患者さまの状態によって用いる薬が違ったり(同病異治)、逆に違う病気に同じ薬が用いられること(異病同治)があります。

漢方医学独特のいろいろな“ものさし”を使って「証」を決め、それに基づいて処方されることで、漢方薬は患者さまそれぞれの症状の感じ方・体質・病態に応じた「オーダーメイド治療」ができます。